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■見たい魅力的サッカー Jリーグブランドに磨きを


 今季のJリーグの目玉は何と言ってもC大阪に加入したフォルランだろう。前回ワールドカップ(W杯)の得点王、MVPというネームバリューにふさわしい実力がある。このレベルがJリーグに来るのは2000年以降では初めて。柿谷や南野ら伸び盛りの選手とどんなコンビネーションを見せてくれるだろうか。
 観客に特に注目してもらいたい瞬間がボールを奪ってからのカウンターだ。単純で面白みがないように思われがちなプレーだけど、実は高度な技術が必要。少しでもパスがずれると相手が戻る時間を与えてしまい、フィニッシュまでたどり着けない。長い距離を走りきった後、精度の高いシュートを打つのも難しい。

■フォルランの頭使った至芸は必見

 Jリーグでもきれいにカウンターが決まる場面はそう多くない。そう考えると、ウルグアイ代表でフォルランがスアレス、カバニと繰り出すカウンターは世界でもトップ。

 前線へスアレスが走る。ボールを持つフォルランの視野には全く入っていないはずなのに、パスがぴたりと通る――。見ていないようで、フォルランはボールを受ける前にしっかり味方の位置を確認、「この後ここに走るはず」という確かな予測に基づいてパスを出している。

 このレベルの選手ならボールを止める、蹴るといった技術が高いのは当たり前。真価が現れるのはむしろボールを持っていないときなのだ。世界の一流選手がいかに頭を使ってサッカーをしているか。テレビに映らない、スタジアムでないと分からない至芸をぜひ見てもらいたい。

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■Jリーグ活性化への一つのモデル

 C大阪はフォルランの来日と入団記者会見に合わせ、記念タオルをさっそく売り出した。今季の入場者数も大幅な増加を見込んでいると聞く。マーケティングでの動きも含め、今回の補強はJリーグを活性化させるための一つのモデルになり得る。

 欲を言えば、今度は同等の選手に欧州から直接、日本に来てもらえると素晴らしい。10年以上欧州で活躍したフォルランだが、直近はブラジルのインテルナシオナルでプレーしていた。例えば、東南アジアで人気が高い英プレミアリーグの選手が来日すれば、Jリーグが目指す海外でのテレビ放送の拡大にも効果が大きいのでは。

■キャンプの手応えと成績に相関性

 それにしても、先日シーズンが終わったばかりなのに、あっという間に開幕。早いなあ、というのが実感だ。逆に、選手にとってはシーズン前のこの時期は練習も厳しく、非常に長く感じるもの。僕が現役のときは自主トレーニングを含めて7~8週間の準備期間を経てシーズンに入っていた。特にキャンプの2週間弱は1回の練習が終わるたびに心の中でカレンダーに×印をつけて乗り切っていた。

 キャンプ中に感じる手応えはシーズンの成績とはかなり相関性がある。1997年にカメルーン代表のエムボマがG大阪にきたときは、圧倒的な身体能力に大きな衝撃を受けた。このシーズンは年間順位で4位。02年に3位になるまでの最高成績を挙げた。

 今季の各クラブの手応えはどうだろうか。3連覇に挑む広島に、昨季最終節で涙をのんだ横浜M、2年連続で大量補強した浦和、フォルランのC大阪……。激しい優勝争いだけでなく、新シーズンでは魅力的なサッカーをするチームが増えればと願っている。相手の強みを消すことに専念するプレーではなく、たまたま試合を見た人が新しいファンになってくれるような、ダイナミズムのあるサッカーがほしい。

 今季もう一つ期待することが、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)でのJリーグ勢の活躍だ。昨季は出場した4クラブ中3クラブが1次リーグで敗退。唯一勝ち残った柏も準決勝で広州恒大(中国)に大敗した。07年に浦和、08年にG大阪が優勝した頃はアジア中で「Jリーグは強い」というイメージがあったが、今は中国、韓国も力をつけてきている。

■アジアで確かな力、ピッチ上でも

 代表チームが強くても、リーグとしての力が落ちるとアジアのサッカー界における日本の発言力が低下する。日本の指導者を派遣してほしいという国も減るだろう。ACLやW杯予選の大会フォーマットなど大きなルールづくりでも存在感がなくなりかねない。

 Jリーグが東南アジアのリーグと提携したり、各クラブが現地の選手を獲得したりしているのは、市場としてのアジアに注目した戦略。これはこれで進めるべきだが、ピッチの上でもアジアで確かな力を持ちたい。クラブがACLで実力を発揮できるよう日程面で配慮するなど、Jリーグがもっとサポートできる部分もあるのかもしれない。

 今季はJ3も始まるが、リーグの裾野を広げることはもうかなり実現できた。これからはJリーグというブランドをもう一度魅力あるものに成長させることに取り組むべきだろう。

■特任理事として選手の声を届ける

 1月末、新設されたJリーグの特任理事に就いた。米国の競技団体などでは役員に現役選手の枠を設ける例もあるが、日本のスポーツ界ではまだ選手側の声を届ける仕組みは乏しい。今回、自分に声が掛かったのはそこを補完してほしいという趣旨だと思っている。現役選手の意見もリサーチして、Jリーグのブランド力を高める力になれればと思う。

(元日本代表主将)

引用元⇒http://www.nikkei.com/article/DGXZZO67035280Y4A210C1000000/  


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